仕事の優先順位がつけられない部下への対処法

From:伴走(Together Run)金子誠志

経営トップであるあなたと部下、
両者の仕事の優先順位は、
一致していますか?

「どうしてこっちを先にしないの?」
「それは後でもいいんだけど・・・」
「なんでわかってくれないのかな?」

仕事を進めていく上で、部下の行動に
そんな風に感じること、ありませんか?

これって社長からしますと
ストレスになりがちです。

そうならないためには
どうしたらいいか。

先般ご相談いただいたEさんを例に
本日なそんな点を記させてください。

3年尽力したEさんの悩み

Eさんは40台の2代目経営者。
先代から家業を引き継ぎ3年
とおっしゃっていました。

先代であるお父上は、
Eさんに引き継ぐと同時に
経営から完全に身を引かれたそう。

ですが、古参社員も多く、
Eさんの考え通りに物事が進まず、
相談にみえたのでした。

詳しく話を伺いますと、
平成の終わり頃を境に
業績が低迷気味とのこと。

Eさんとしましては、
まずは収益構造見直しが
喫緊の課題と考えているそう。

そこで既存客へのテコ入れを
図ろうと思っているとのこと。

一方、古参社員を中心として
「既存客より新規客」という声が多く、
会社がバラバラのような状態だそうです。

先代に相談するも相手にされず

一度先代に相談したそうですが、
「俺はお前に託したんだ。うまくやってくれ」
といわれ、取りつく島もなかったとのこと。

Eさんなりに3年間努力してきたけど、
手が尽きたように思っている、
と話されていました。

そんなEさんにお伝えしたことは
大きく以下3つに集約できます。

1)明確な行動指針を示すこと
2)個別に徹底対話すること
3)評価体系を変えること

少し補足させてください。

Eさんは、既存客強化を
最前面に掲げられました。

ただ、詳しくお話を伺うと、
細かな行動指針までは
打ち出していないとのこと。

仕事の優先順位を具体化しよう!

例えば、選択肢が2つある場合、
「Aではなく常にBを選べ」
とはなっていないそうです。

その辺りの基準があいまいだったため、
Eさんとしても部下判断を尊重せざるを得ず、
Eさんが我慢するという構図になっていました。

メンバーの自主性を重んじるのは
モチベーションという意味でも大切。

ですが、明確な行動指針を作ることで
部下自身が自ら判断しやすくなる

というメリットも生まれます。

さらにいえば、明確な指針があることで
部下の方も異なった意見などを
出しやすくなるでしょう。

一つ目の「明確な行動指針を示すこと」
とは、そういう意味です。

相手の言い分を聞こう!

二つ目の徹底対話、といいますのは
Eさんでいえば特に古参社員との関係性。

古参社員の中には、人生の大先輩もおり、
会議の場でも、押し切られることが多い
と嘆いていらっしゃいました。

そういった人達お一人おひとりと
膝詰めで話し合ったことはないそう。

もちろん、話し合えばなんでも解決する
というほど、甘くはないでしょう。

それでも腹を割って話すことで
解決に向かう可能性もあります。

反りが合わない、性格的に苦手、
中にはそんな部下だって
いるかもしれません。

でも、少なくとも一度は
相手の言い分を聞くというのは
コミュニケーションの大原則。

あ、念のために記しますが、この場合、
相手の声に耳を傾けるのが基本です。

あなたの意見を主張するばかりでは
溝が深まる結果になりますので
ご留意くださいませ。

行動指針と評価体系を一致させよう!

そして最後が「評価体系」。
Eさんの会社では新規を獲得すると
報奨が出る仕組みがありました。

これは先代からのもので、
創業当初の新規開拓の苦労を
少しでも労う意図からとのこと。

その仕組みが見直されることなく
今もそのままになっているそうです。

会社における評価体系とは、
行動指針の一種
といえます。

「こういうことをしたら褒めるよ、
 でもこれをやったらダメだよ」

それが賃金などの具体的な形となって
社員に跳ね返るのが評価体系でしょう。

ですから、Eさんが「既存、既存」と
声を大にしたとしても、評価体系は
「新規、新規」となっている。

これでは、Eさんの思いは
浸透しにくいでしょう。

そんなお話をしたところ、
「一つずつ実践してみます」と
Eさんはお帰りになられました。

仕事の優先順位をつけられない部下を
責めるだけではなにも改善しません。

社長と部下の仕事における優先順位が
一致しないのは、社長にとっても
部下にとっても大きなストレス。

ですからもしあなたが同じ悩みがあるなら、
上記3つの視点でチェックされては
いかがでしょう?

PS

社長がストレスを抱える会社の多くで
部下もストレスを抱えています。

だからこそ、双方が
ストレスを最小化できる
方策が重要ですね。

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