『売上-費用=利益』の正しい見方・使い方

From:伴走(Together Run)金子誠志

今日は、数字の話を
取り上げようと思います。

もしかしたら
「数字はちょっと・・・」
と思われるかもしれません。

ですが、とても大切なことですし、
できるだけシンプルにしますから、
ぜひご覧いただきたいです。

Y社はアホなのか?

さて。

売上-費用=利益

利益とは、
売上から費用を引いたもの。

これ、あなたにとって
当たり前の公式ですよね。

では、ここで質問。
以下のY社の結果を
あなたはどう評価されます?

費用の多くは、
新規客獲得コスト
という前提です。

売上の4倍の費用だって?

<1月目>
売上 100万円
費用 400万円
利益 ▲300万円(赤字)

<2月目>
売上 100万円
費用 400万円
利益 ▲300万円(赤字)

<3月目>
売上 100万円
費用 400万円
利益 ▲300万円(赤字)

多くの経営者は、
こう考えるでしょう。

「これじゃあ、ダメでしょ!」と。

その理由を尋ねれば
こう答えると思います。

費用をかけ過ぎているから」

視点を変えると・・・

では、Y社の経営者は
無能なのでしょうか。

確かにこの数字を見る限り
売上の4倍、費用をかけています。

100円の売上に
400円かけているわけですから
「バカじゃないの!」
となるかもしれません。

そこで、
お客さん情報を
追加してみましょう。

<1月目>
売上 100万円
費用 400万円
利益 ▲300万円(赤字)
顧客 100人

<2月目>
売上 100万円
費用 400万円
利益 ▲300万円(赤字)
顧客 200人(累計)

<3月目>
売上 100万円
費用 400万円
利益 ▲300万円(赤字)
顧客 300人(累計)

顧客数が増えると・・・

こうだとしたら、
どう評価されます?

1月目が計算しやすいので、
それを材料にしてみますね。

客単価=売上÷客数
客単価=100万円÷100人=1万円

客獲得コスト=費用÷客数
客獲得コスト=400万円÷100人=4万円

1月目だけ見れば、
1人のお客さん獲得に
4万円かかっていることになります。

では、2月目はどうでしょう?
1月目と変わりません。

1月目と違うのは、
累計顧客数が倍(200人)
になっていること。

3ヶ月目には、
顧客がさらに増え、
累計300人になっています。

顧客増がもたらす効果

このお客さん達が
平均4ヶ月に一度、
1万円を落としてくれる、
としたらどうなるか?

すると、4ヶ月目には、
1ヶ月目のお客さんのリピートが発生。

5ヶ月目には、
2ヶ月目のお客さんがリピート。

4ヶ月目以降を
シミュレーションしてみましょう。

同じように費用を
かけ続けるとします。

<4月目>
売上 200万円
 (1ヶ月目のリピート+当月客)
費用 400万円
利益 ▲200万円(赤字)
顧客 400人(累計)

<5月目>
売上 200万円
 (2ヶ月目のリピート+当月客)
費用 400万円
利益 ▲200万円(赤字)
顧客 500人(累計)

<6月目>
売上 200万円
 (3ヶ月目のリピート+当月客)
費用 400万円
利益 ▲200万円(赤字)
顧客 600人(累計)

<7月目>
売上 300万円
 (1ヶ月目と4ヶ月目のリピート+当月客)
費用 400万円
利益 ▲100万円(赤字)
顧客 700人(累計)

7ヶ月目には、
赤字が当初の1/3の
100万円に
なりました。

一方、累計顧客数は
700人に達しています。

顧客数と利益の関係

ではここで、
もう1つのパターンを
シミュレーションしてみましょう。

6ヶ月目に
新規客獲得を
やめた
とします。

300万円の費用の内、
固定費が150万円だった
としましょう。

すると7ヶ月目は
以下のようになります。

<7月目>
売上 200万円
 (1ヶ月目と4ヶ月目のリピート)
費用 150万円
利益 50万円(黒字)
顧客 600人(累計)

新規のお客さんが平均3年、
取引してくれたとします。

すると、
7ヶ月目以降2年半の間、
毎月50万円の利益が残ることになる。

そうです、2年半で
1,500万円もの利益

もたらしてくれるわけです。

数字に惑わされないでください

利益=売上-費用

この公式を使う場合、
一般には単月や単年など
比較的短期に焦点が当たりがち。

でも実際は、一定期間、
リピートしてくれるお客さんが
現れることが少なくありません。

Y社のお客さんの平均は年4回。
それが3年続くのが普通だとしたら
客単価(1万円)からすれば計12万円。

一方、
お客さん1人獲得に要する費用は
4万円。

単純に計算すれば・・・。
利益=売上12万円-費用4万円=8万円

単月で見れば赤字ですが、
お客さんという軸で見ると
1人増えるごとに8万円の利益増

ということになります。

ですから、
『売上-費用=利益』を使う際は
判断を誤らないよう
ご留意くださいませ!

PS

ちなみに、上記は
LTV(顧客生涯価値)という
考えに基づいたものです。

もう少し詳しく知りたい、
ということでしたら、
こちらをご覧ください。

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