部下が自ら動き出すコミュニケーションの方法

前回、「良い経営者と悪い経営者、その事例」
というテーマの下、業績に大きな影響を及ぼす
コミュニケーション問題に触れました。

経営者の『本気で聞く』姿勢が周囲に伝わると、
さまざまな事柄が良い方向に回り出す、という
事例を記しましたが、ご記憶にございますか?

“聞く耳”の実践って難しい!?

実は書いた翌日、読者さん(仮に経営者Sさん
としましょう)とお会いする機会があったん
ですが、そこでこんな質問を受けました。

「聞く耳を持つ大切さは分かりますけど、でも
質問しても答えが返ってこなかったりすると、
ついついこっちから話しちゃうんですよね」

「同じように感じている人も多いと思うん
ですけど、実際、どうすれば部下の自主性
を引き出すことができるんですかね?」

経営者や上司は、部下からすると報告連絡相談
する相手であるばかりでなく、評価者を兼ねる
というのが一般的じゃありませんか?

部下のキャラによりますが、上司と話す際、
言葉を選びつつっていう人、少なくありません。

ところが、その部下が考えている
わずかな時間を待てない経営者・上司って、
めちゃくちゃ多い
ように思います。

部下コミュニケーションのヒントに

ということで、今回と次回の
2回に分け、Sさんにお伝えした部下
コミュニケーション法を記させてください。

ちなみに、急にあなたが今回お伝えする
ような会話スタイルに変えてしまうと、
最初、部下は戸惑うかもしれません。

でも、この方法を繰り返していくと、着実に
部下が自ら考え行動していくようになります。

そのような訳で、もし部下コミュニケーションに
課題を感じているなら、今回ご紹介する
方法をぜひお試しいただきたいです。

部下が自ら動き出すようになるには、少し時間が
かかると思いますが、最終的には上司である
あなた自身が楽になる取り組み
ですから。

コミュニケーションにおける極意

早速ですが、前編となる今回は、コミュニ
ケーションの“極意”をお伝えいたしましょう。

これ、簡単そうに聞こえるかもしれませんが、
実践するとなると、結構ハードルが高いです。

なにかといえば、『部下に問いかけた際は
相手が答えるまで黙って待つ』
ということ。

なぜなら、たったそれだけで部下は
自ら考えざるを得なくなるから。

こういうと、「どれくらい待てばいいですか?」
と聞かれることが少なくありません。

答えはシンプル。
『相手が答えるまで、ひたすら待つ』です。

すると、こう突っこんでくる人もいます。
「じゃあ、部下が答えなかったら
10分でも20分でも待つんですか?」

これまた私の答えはシンプル。
「はい、その通りです」

待つって本当に時間のムダか

すると、さらにこういわれることも。
「それって、時間のムダじゃありませんか?」

先ほど、言葉を選びつつ会話する人もいるため
部下の反応が遅くなる可能性に触れました。

ですが、実は答えが返ってこない
理由はもう一つ考えられます。

それが「部下はそもそも物事を深く考えて
おらず、答えられない」
というケース。

部下が考える前に、常に上司が先手先手で
喋ってしまうと、その内、部下は思考
することを停止させてしまいます。

部下がなにかをいう前に上司が答えを出す、
あるいは部下がなにかをいってもそれを否定し、
上司が方向性を示していると、どうなるか。

その繰り返しによって部下が、「考えるのは
ばかばかしい」と思うように
なるんです。

部下が考えるように仕向けよう!

もちろん、上司からしたら、部下の考え方が
浅はかだったり、間違っていると思うから、
正してあげようと指摘したりするわけです。

でも、一部のできる部下は別ですが、
普通の部下はそのように捉えません。
結果、指示待ち人間になって行く。

だからこそ、部下コミュニケーションの際は、
なにか質問したら、部下から答えが
発せられるまでひたすら待つ。

そういった態度に徹し、会話に
臨んでいただきたいです。

すると、いわゆる“沈黙”という
状態が続くかもしれません。

それは上司としては辛い時間ですが、
それ以上に部下にとっては居心地の悪い時間。

ですから、その内、部下から
なんらかの言葉が出てくるはずです。

部下の言葉を一旦受け入れる

その際、特に指示待ち人間になってしまっている
部下の場合、例え上司から見るとレベルが低いと
思う答えも、一旦受け入れてあげてください。

ここで、文句をいってしまったり、部下を否定
してしまえば、自ら考える部下は育ちません。
なので、ここは上司の辛抱のしどころです。

ということで、コミュニケーションにおいては
その大原則として、問いかけたら相手の答えを
待つ、これを徹底していただきたいです。

では、その先はどのようにすればいいか?
これにつきましては、こちら(後編)で
お伝えしています。

PS

本気で聞くって、慣れるまでは
めっちゃ大変かもしれません。

でも、これができるようになると、
組織が一気に活性化し出します。

一種の生みの苦しみ、そこは気合で
乗り切るしかないかもしれませんね。

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