From:伴走(Together Run)金子誠志
前回、お客さんの声(要望)には、仕組みを
作り(標準化で)対応していきましょう、
ということお伝えしました。
関連のご質問を頂戴しましたので、
今回もこの場を通じ、共有したく思います。
ご質問は、かなり具体的な内容でした。
原文をこの場で公開するのは好ましくない
と思われますので、質問意図を記しますね。
簡単いえば、お客さんのニーズにはなんと
しても対応すべきか、というものでした。
企業規模が対応方法を左右
これ、結論からいってしまうと、
『企業規模による』というのが答え。
企業規模とは、単純に大きさもありますが、
知名度が関係する場合も少なくありません。
中小企業の中にも、知名度の
高い企業があるからです。
で、大企業、あるいは知名度の高い
企業の場合、ある程度はお客さん
のニーズに対応せざるを得ません。
少し後ろ向きの表現となりますが、
それはリスクを避けるため。
ご存知の通り、今はSNSなどを通じ、
瞬時に情報が拡散する時代です。
大企業、あるいは知名度の高い企業の場合、
例え法律に反していなくとも、その行動は
倫理とか、世間常識と比較されるのが常。
バーバリーは世界を敵に回した?
そこで評判を落とせば、売上に強く影響します。
昨年、イギリス・バーバリーが42億円相当の
服を焼却処分していたことが発覚しました。
これなんか、法律上のルールを
犯したわけではありありませんよね?
でも、世界レベルで批判されてしまった。
マクドナルドの使用期限切れ鶏肉問題の場合、
ルールを逸脱していたということがありますが、
発覚の翌月の売上はなんと25%もダウン。
固定費は、急には下がりませんから、
利益面の影響は計り知れないでしょう。
ですから、大企業、あるいは知名度の高い
企業の場合、お客さんの要望には、積極対応
せざるを得ない、という事情があります。
各種制約ある中小企業・店舗の在り方
さて、では中小企業、あるいは
中小店舗の場合はどうでしょう?
お客さんの要望に応えていくのが基本、
ということは、当然ですが変わりません。
ただ、その際に忘れてはいけない
大切なポイントがあります。
それが『自社のメイン顧客層
のニーズか』ということ。
中小企業は、さまざまな資源の制約があります。
人の数、お金の量などがそうですよね?
ということは、言い方を変えれば、
取引する全てのお客さんの要望を
満たすのは難しい、ということ。
だからこそ、自社(自店)が一番大切にしたい、
利益面でも貢献してくれるお客さんの要望に
応えることを最優先にすべきなんです。
「帰ってくれ」と叫ぶマスター
例えば、私が良く利用させてもらっている
飲食店のマスターなんかは、その一例でしょう。
そこは、訪れたお客さんがくつろげる
ことをメインに考えているそう。
ですから、流す音楽とか、インテリアなど
にも相当にこだわっている(という話を
マスターがよくしてくれます:笑)。
一方、マナーの悪いお客さんが来ると、
「金は要らないからもう来ないでくれ」
と追い返してしまうんです。
そういうお客さがいると、他のお客さんが
楽しめないから、というのがマスターの言い分。
結果、そこに残るお客さんは
一定のマナーをわきまえた人ばかり。
残るお客さにしてもそれはありがたい。
これ、もちろんB2B(企業を相手に
ビジネスする会社)の場合も同様です。
お客さんのニーズは宝の山ですが、その対象は
全てのお客さんではなく、自社(自店)が
大切にしたいお客さん、ということ。
ですから、前回お伝えした標準化においても、
自社が大切にしたいお客さんが喜んでくれる
ことを優先的に考えるべきでしょう。
PS
メインターゲットではないお客さんのニーズに
応えない、というのは、「そういう方はお越し
いただく必要なし」という暗黙のメッセージ。
実は来て欲しいお客さんを
絞り込むことによって、企業(お店)も
お客さん自身も幸せになれるんですね。