From:伴走(Together Run)金子誠志
ビジネスの可能性を示す言葉の一つに、
ブルーオーシャンとかレッドオーシャン
という言葉が使われることがあります。
今日は先日ご相談いただいた
Kさんにご登場いただきつつ、
よくある誤解を記しましょう。
簡単に申し上げますと、
「それ、本当にニーズある?」
という、経営者が陥りがちな罠です。
ビジネスネタを熱く語るKさん
Kさんは30代後半の起業家予備軍。
ご本人曰く、学生時代から将来の起業を決め、
その資金を貯めるべく会社員になったとのこと。
手元資金が厚くなってきていること、
アフターコロナが近いと感じられること、
そして起業ネタを思いついたことから
実行の時と判断され、相談に見えました。
Kさん、有名大学の工学部ご出身。
現在お勤めの会社でも回路設計をメインに
経験を積んでこられたとおっしゃっていました。
Kさんが思いついた起業ネタというのは、
簡単にいえば回路にサービスを合わせたもの。
私は根っからの文系ですから、
機械はあまり詳しくありませんが、
そんな私にKさんが熱く語ってくれました。
まさにブルーオーシャン!?
Kさんの話を整理しますと、
以下のようなことだそう。
◆中小企業から引き合いの多いBという回路
◆導入の障害になるのが企業の専門知識不足
◆そこで回路を仕入れ、サポートとセット販売
◆そういったビジネス展開の競合見当たらず
◆継続課金制度を採り入れ、収益安定化へ
Kさんはこんな風にもおっしゃっていました。
「まさにブルーオーシャンだと思うのですが」
Kさんの熱い話がひと段落したタイミングに
私は浮かんだ疑問をいくつか質問しました。
◆そういったニーズが寄せられているのか
◆価格については、リサーチしたか
◆導入以降はどういったサービスを提供するか
考えた/思った/~のはず
すると、途端にKさんの勢いが
トーンダウンしてしまったのです。
その答えをまとめますと、
こんな感じの発言でした。
◆お客さんからそういったサービスが欲しい
と直接的にいわれたことはない
さまざまなお客さんの声を踏まえると
そういったニーズがあると考えている
◆価格についてのリサーチはしていないが、
原価を考えると、妥当と思っている
◆お客さんの初期投資額を抑えるつもりでおり
導入以降のサポートの中身は決めていないが
ある程度の期間は継続利用してくれるはず
さて、この話をお聞きになり、
あなたはどう思われます?
リサーチしよう!
Kさんの話の中で私が一番気になったのが、
お客さんのニーズ(声)がスタート台ではなく、
Kさん独自の発想がベースになっていること。
◆こんな商品があったら便利に違いない
◆こんなサービスなら利用されるだろう
◆このくらいの価格なら売れるはず
新商品・新サービスを考え続けるのは
ビジネスを発展させる上でとても重要。
でも、時に売り手の論理だけで
形にされてしまうことがあります。
ましてそれが世の中に
存在していないものとなると、
ブルーオーシャンと捉えがちに。
でも、そうではない可能性の方が
圧倒的に高いのが現実といえます。
ご相談いただいたKさんも、
「お客さんにリサーチしてみます」
と帰路に就かれました。
Kさんとは一月後の再会を約束。
リサーチ結果が今から楽しみです!
PS
関連する以下記事も併せご覧ください。
ブルーオーシャンとレッドオーシャン、その罠