
From:伴走(Together Run)金子誠志
集客、あるいはマーケティングにおいて
最も重要ともいわれるもの、それがリストです。
リスト取りでやらかした会社
リスト(顧客名簿)とは、お客さんの
名前や住所、メルアドといった連絡先
(が掲載された一覧)のこと。
念のために記しますが、ここでいうお客さんとは
既存客だけでなく、見込み客(まだ購入
したことのないお客さん)も含まれます。
それはさておき、お客さん情報を獲得することを
『リスト取り』と呼びますが、今日は
その大失敗事例をお伝えしましょう。
先日、知り合いのご夫妻と
お話していた時のことです。
奥様は、私がマーケティング関連の
仕事をしていることをよくご存じ。
だからでしょう、私に
こんな風に話しかけてきました。
「金子さん、ちょっと主人と意見が
割れたんですけど、プロから見るとどうか
考えを聞かせていただけませんか?」
ご夫婦間の対立の原因
そこで、話を伺うと、こんな内容でした。
奥様がよく利用されるお店から
新規会員募集のチラシが届いた。
年会費5,000円を払えば、ほとんどの
商品が5%offなるという内容。
しかも、一週間以内に申し込めば、
5,000円分の商品もプレゼントとのこと。
つまり年会費として払う5,000円は、
実質無料になる、というお得なもの。
そのチラシに掲載された5,000円分の
商品(写真)はどれも良さそうなものばかり。
そこで、すぐに申しこみを済まされた。
後日届いたプレゼントは、チラシに
掲載されていたものとは、異なる品ばかり。
チラシを見直してみると、小さく
「実際にお届けするプレゼントは写真と
異なる場合があります」との注意書き。
そうはいっても、写真と実際に届いたものが
あまりに違っており、納得できない、
という訴えでした。
それをご主人に話したところ、「それは
仕方ないだろう」といわれてしまった。
しかし、奥様としてはすっきりしない。
そんな内容でした。
期待と結果の関係、ご存知ですか?
さて、この奥様、あるいはご主人の意見、
あなたはどう思われますか?
私は、そのご夫妻になんといったか?
それは、あなたのご想像にお任せしますが、
押さえていただきたいのは、不満や満足が
どのように生じるか、その仕組みについて。
不満とか満足って、心の反応のこと。
事前と期待と事後の結果の差から生じる
感情の動きに他なりません。
「期待>結果」だと、不満。
「期待<結果」だと、満足。
こういう式が成り立ちます。
例えば提供されるサービス(結果)が
同じだとしても、事前の期待が高いと、
人は不満を抱くことになる。
一方、はなから期待していない場合、
それなりのサービスを提供されるだけで
満足してしまう可能性が高い。
日本のサービス業がもてはやされる理由
日本のサービス業が海外の人に高評価なのは
リーズナブルなお店であっても丁寧な対応を
してくれる、という点が大きいでしょう。
要は、期待していなかったけど、
結果(対応)が良かったから、大満足
という構図ができあがるわけです。
話しを戻しますね。
上述した店舗の会員獲得(リスト取り)活動。
その目的は、リピートを増やすことのはず。
いわゆる囲いこみを狙っていたのでしょう。
ところが、リスト取りのためとはいえ、
実際のプレゼントと違う写真を使ったことで
期待値を高め過ぎてしまったわけです。
結果、なにが起きたか。
奥様がこういっていました。
「こんな騙し討ちのようなことをする
お店からは、もう二度と買わないわ」
気づかぬ内にやらかしていませんか?
リスト取りだけではありません。
広告やパンフレットの文言・画像など、
売りたいがため、時に過剰気味に。
でも、その結果「期待>結果」となれば、
どれほど良い商品・サービスであっても
お客さんは満足してくれません。
最悪の場合、この奥様のように
お店から離れていってしまいます。
リスト取りという活動自体は、とても大切。
とはいっても、一定の節度も求められる。
その意味では、何事もバランスが大事、
ということになるでしょう・・・。
PS
チラシに掲載されサンプル写真と、
実際に送られてきたプレゼントの
写真を見せていただきました。
「これ、違い過ぎだろ」と思いましたが、
それは奥様にいわず、ぐっと飲みこむことに。
ちなみに10個くらいのプレゼントの内、
チラシと全く一緒だったのは、2つだけ。
かなりビックリでした。