売上の分析のやり方・その第一歩

From:伴走(Together Run)金子誠志

前回、お客さんを増やしたり、売上・利益を
アップさせるには、ビジネスの動きを数値化
することが重要だ、という話をしました。

なぜなら、数値化することで、次になにを
すべきか、その一手が見えてくるから。

さて、どこから手を付けよう?

とはいいましても、ビジネスに絡む
数値って無数にありませんか?

では、いったいどこから手を付けたらいいか?
今日はそんな点をお伝えしたく思います。

中には“数字の話”と聞いただけで
毛嫌いされる方もいらっしゃいますが、
ビジネスと数字は切っても切れない仲

ポイントを絞り、お伝えしますので、
仮に苦手意識があったとしても、なんとか
最後までお付き合いいただきたいです。

では早速、具体例を挙げつつ
進めて参りましょう。

財務データから分かること

まずは下記【図1】をご覧ください。
A社のとある年度の11月における週別
売上をまとめた表となっています。

1

A社のこの月の売上は、合計2,000円。
さて、これを見て、売上増に向け次の
一手をどうすべきか、見えてきますか?

強いていえば、「出だし(第1週)は
良かったけど、第2週が悪いな。中だるみ
せず、頑張ろう!」
くらいですかね(笑)。

財務上も売上管理は重要ですが、それら
データから次の売上増に向けた一手をどう
すべきかは、見えてこないことが多いです。

データを深掘りすると・・・

では、今度は下記【図2】をご覧ください。
なにかヒントが得られないかと思い、データ
を深掘りしたところ、客数が分かりました。

1

延べ10人が購入してくれて
いることが判明したんです。

延べですから、同じ人が含まれている
かもしれませんが、客数が分かると、1回
当たりの客単価が算出できますよね?

客単価=売上2,000円÷10人=200円

売上で有名な公式があります。
売上=(延べ)客数×客単価

A社を公式に当てはめると・・・

A社の場合、以下のようになります。
売上2,000円=10人×200円

すると、仮に目標売上に届いていなかった場合、
お客さんの数が少なかったか、単価が想定
より低かったか
、といった判断が可能。

原因が分かれば、次の一手として
なにをすべきか、見えてきませんか?

これが冒頭に記した、『ビジネスの
動きを数値化する』という意味。

ただ、これだと、打つ手が相当に多彩。
もう少し方向性を絞れると良いですよね?

さらにデータを見ていくと・・・

そこでさらにデータを細かく見ていった
ところ、お客さんの詳細が分かりました。
それが下記【図3】です。

1

購入しれくれていたのは、
Aさん/Bさん/Cさん/Dさんの4名。

なんとBさんは4回も購入してくれています。
もしかしたら、Bさんは一番の
上顧客かもしれません。

リピート回数もつかもう!

ここまで売上の中身が分かるようになると、
お客さんのリピート回数だって算出できます。

4人のお客さんが計10回購入してくれて
いますから、平均リピート回数が出せる。

リピート回数=10回÷4人=2.5回/1人

先ほど、売上を客数と客単価に分解
しましたが、リピート回数を使い、
さらに分解してみましょう。

売上=(正味)客数×客単価×リピート回数

A社の場合、次のようになります。
売上2,000円=4人×200円×2.5回

先ほどは(延べ)客数と客単価
の2つしかわかりませんでしたが、
今度は要素が3つとなりました。

どこから手を付けるべきか、要素が2つの
時に比べ、判断しやすいのではありませんか?
結果、次の一手を決めやすくなります。

ここまで売上の中身を把握できていると、
かなりハイレベルにある、といえるでしょう。

他にも手掛かりはないか?

ですが、A社ではさらにデータを
深掘りしてみることにしました。

すると、個々のお客さんが1回に
使った金額がつかめたんです。
それが、下記【図4】。

1

一番のお得意さん『Aさん』

ここでお客さん別に、単価を算出し、
まとめてみましょう(【図5】)。

1

【図3】の段階では、Bさんが一番の上顧客
かもしれないと記しましたが、細かく見ると、
実は一番貢献しているのはAさんでした。

客単価でみた場合、AさんはBさんの2.4倍
Bさんは足繁く通ってくれていますが、売上
への貢献度ではAさんに軍配が上がります。

ここまで売上の中身がわかるようになると、
具体的な手立てを打ちやすくなりますよね?

数字が次の一手を明らかに

例えば、客単価の高いAさんには、
さらに手厚いサポートをすることでもっと
買ってもらう作戦が良いかもしれません。

Dさんについては、いかに2回目のリピートに
繋げるか、そのフォローが有効かもしれません。

このように【図1】からは見えてこなかったこと
が、データ深掘りによって中身が分かるように
なり、次の一手が打ちやすくなるんです。

売上を集計しているだけ(【図1】の状態)
だと、こういったことは分かりません。

一方、【図3】や【図4】のデータって、
一般に財務データには含まれていませんよね?

でも、次の一手を決めるには、とても重要。
だからこそ、こういったデータを意図的に
集めていく必要がある
んです。

ということで、次の一手をどうすべきか悩むこと
が多い、という状況なら、まずはビジネスの動き
の数値化にチャレンジしていただきたいです。

ちなみに、今回は個人別にデータを見ました
が、客数が多い場合、購入パターンなどから
いくつかのグループに分けても良いでしょう。

PS

A社の11月の売上がわずか2,000円
なのは、分かりやすさ最優先にしたから。

リアリティーを持たせるなら、1,000倍
とかにしていただくとよろしいかと(月間
売上でいうと200万円になります)。

PS2

本内容の続きである、以下記事もぜひご覧ください。
売上・利益見込みの出し方、その計算方法
成約率と売上の関係をつかみ見込精度向上へ
集客にかけられる費用の算出の仕方
売上分析の切り口“まとめ”

関連記事