リサーチの注意点:先入観はないか?

From:伴走(Together Run)金子誠志

ビジネスでは、お客さんが抱える
悩みとか不安・問題を知ることが
その“第1歩”
となります。

だからこそ、リサーチがとても重要。
そのスタートが通常は仮説を立てることです。

って、それを意識していない人も多いですが、
「もしかして、こうかな?」と当たりをつけ、
調べ始めるのが普通ではありませんか?

全部を調べるなんて無理!

例えば、一泊で温泉に行きたいと思った場合、
「この辺が良さそうかも」という仮説を立て、
ある程度の絞り込みをしますよね?

その上で具体的な移動手段とか、
現地の最新情報などを調べつつ、
目的地を絞りこんで行くと思います。

一泊で行ける全ての温泉地をピックアップし、
それらを一つひとつ比較するなんていうことを
していたら、それだけで疲れ果ててしまう。

ですから、実は、リサーチの第1歩って、
本人が気づいているかどうかは別に、
仮説思考を行う
ことなんです。

そういった前提に立ち、本日お伝えしたいのが、
その際に意識したい“先入観”について。

ところであなたは、Suicaをお持ちですか?
もちろんPASMOでもけっこうです(笑)。

いわゆるICカード乗車券っていうやつですね。
もしかしたら両方お使いかもしれません。

私の周囲はほぼ100%なのに

さて、私は現在、鎌倉市に住んでいます。
で、私の周囲を見れば、Suica or PASMO
のいずれかを持っている人だらけ。

あなたもきっと持っているでしょうし、
あなたの周囲だってそうではありませんか?

そんな中、先日、ある地方に
出向く機会があったんです。

仕事を終え、現地の方5人と一緒にご飯を
食べに(正確には飲みに:笑)行くことに。

で、なんとなくICカード乗車券
の話になったんですね。

すると、驚いたことに、Suicaなどの
カードを持っていた人は、私を含め
たった2人しかいませんでした。

私を除くと、持っていたのは
5人中1人だけ、所持率わずか20%
その低さにビックリしませんか?

なぜか?
理由は簡単でした。

使わないから持ってない

その地方を走る鉄道は路線が少なく、
しかもダイヤも1時間に1本など多くない。
結果、皆さん、移動はほとんどが車。

Suicaを持っていても、使う機会がまずない。
だから持っていないんだそうです。

ちなみに、私以外に1人だけいた
所有者の方も、使うことを目的にしていた
訳ではなく、記念に買ったものだそうです。

見せてもらいましたが、
『東京駅開業100周年記念Suica』でした。

そうです、2014年に発売され、応募が
殺到し話題になった“あれ”ですね。

話を戻しましょう。
あなたのビジネスにおいても
そんなことってありませんか?

あなたの周りではごくごく普通のことだけど、
実はそれは世間一般ではない
、ということ。

例えば、Suicaの使用を前提に、その地方へ出店
したとしたら、それって上手く行きませんよね?

ついつい同業を参考に

別の例を挙げましょう。
私の知り合いは、とあるサービスを
開始する際、29,800円と値付けしました。

それは、その人の周囲で同じようなサービス
を展開している人を参考にしたから。

で、その人は、今はその
サービスを98,000円で販売しています。
当初価格から3倍以上の値段にしたわけです。

もちろん、中身は全く変わっていません。
変えたのは値段だけ。

でも、購入するお客さんの
数は変わっていないんです。
なぜだと思いますか?

お客さんからすると、98,000円でも十分に
納得できる価格だと思ってもらえているから。

最初のリサーチの時点で周囲の価格という
先入観が邪魔し、サービスが本来持つ価値を
無視してしまったがためのミステイクでした。

先入観を完全に捨て去ることは、
正直難しいと思います。

それでも、例えば業界と全く関係ない人と話すと
気づける場合がありますし、「それって本当に
そうか」と自問
することで解決に至る場合も。

ということで、“先入観”ってかなり危険。
あなたはその罠にはまらないように
ご注意くださいませ!

PS

先入観をなくす方法として、意識的に価値観
の異なる人と接する、という方法もあります。

例えば世代の大きく異なる人と話すだけでも、
自分の色眼鏡に気づけることがありますから。

ただ、価値観が違うため、カルチャー
ショックも頻発しますが(笑)。

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