説得する?納得してもらう?

From:伴走(Together Run)金子誠志

それは、あるお食事処で目撃した光景。
その3人組親子は、私から遅れること
10分ほどし、その店にやってきました。

既に午後10:00を回り、店内の人影はまばら。
そんな中、その親子は、私から比較的近い
4人掛けの席に腰を下ろしたんです。

70代と見られるおとうさん、そして
その子供夫婦といった感じでした。

3人とも既にアルコールが入っている
らしく、かなり大きな声で話します。
結果、全てが丸聞こえ。

親の仲を心配する息子夫婦

話から想像するに、お父さんと息子、そして
その息子のお嫁さん、つまりお父さんから
すると義理の娘という関係のようでした。

ざっくりいうと、お父さんとその奥さんの
会話が噛み合わず、それはお父さんのせいだ、
なんとかして
、というのが息子夫婦の言い分。

息子は、奥さんに同調するシーンが多く、
主に話をするのはお嫁さんでした。
例えばこんな感じです。

嫁:お義父さんはもう少し
  お義母さんに気を遣った方がいいよ。
父:それなりに気を遣っているぞ。
嫁:お義母さんの話をもっと聞いてあげて。
息子:そうだな。
父:聞いているよ。かあさん、話が長いんだ。
嫁:それでも最後まできちんと聞いてあげて。
  そうしないから、すぐ喧嘩になるんだよ。
父:かあさんの話は一方的なことが多いんだ。
嫁:そんなことはないと思うよ。確かに話が
  あっちこっち飛ぶかもしれないけど・・・。
息子:かあさんとはうまくやってくれよ。
父:そんなことはわかっているよ。

だから○○して!

さて、そんな「やっている・やっていない」と
いったやり取りが30分近く続いたでしょうか。

そんな中、何度も出てきた
のがお嫁さんのこんなセリフ。
嫁「(だから)お義父さんは○○して」。

例えば、「お義母さんの話を最後まで聞いて
あげて」「お義母さんの買い物にも付き合って
あげて」「一緒に散歩に行ってあげて」。

一方、お義父さんはその度にこういうのです。
「わかっているよ。でも・・・」

例えば、「わかっているよ、でもかあさんの
話は要領を得なくて、こっちも疲れるんだ」

「わかっているよ。でも、かあさんの買い物は、
とにかく長いんだ。こっちの身にもなれよ」

そんな感じで「わかっているよ」の
後に必ず、『でも』が続くのです。

その内に「お義父さん、お義母さんが心配する
からもう帰ろう」と帰宅の途につかれました。

説得だけではなにも変わらず

その後、このおとうさんと奥さんの
関係が改善したかはわかりません。

ですが、きっと以前と
なにも変わっていないでしょう。
あなたもそう思われますよね?

理由は簡単。
そうです、おとうさんが、お嫁さん達に
いわれたことに対し、全く納得していないから。

息子さんとお嫁さんが
行っていたのはおとうさんの説得。
つまり、息子夫婦の論理の押し付けでした。

結果、おとうさんは全く納得できません。
「でも・・・」という言葉に象徴されています。

実は、この親子と同じようなことを
お客さんとのやり取りで見かけます。

例えば商品・サービスを購入するメリット
を理詰めで説明するようなシーン
がそれ。

もちろん、その際はデータを提示したり、
他の利用者の声を紹介したり、それなりに
理論武装し、説明していらっしゃる。

人は常に納得を求める!

「なんでそれがいけないか」ですか?
それは、説得して欲しいと思っている人
なんてこの世に一人もいないから。

では、お客さんはどう考えているか?
そうです、常に納得したいと思っているんです。

他人が考える理論を聞きたいのではなく、
自分の不明な点にこそ答えて欲しい。

つまり売り手論理ではなく、自分(買い手)
の疑問に答えて欲しい
と思っているんです。

この2つ、いったいなにが違うか。
それが、話のとっかかり。

売り手の論理で一方的にしゃべる
のではなく、お客さんの疑問・悩み
から入って行けるかどうか

具体的には、どうすればいいでしょう?
最初にお客さんの疑問・悩みを
聞くようにします。

その上でそれに答えていく形にすれば、
お客さんだって自分の聞きたいことだけに、
素直に耳を傾けてくれると思いませんか?

聞いた上で解決策提示

例えば、上述のおとうさんだって、そもそも
奥さんになんで冷たい態度をとるか、その理由を
聞く辺りから入って行けば、上手く行ったかも。

おとうさんだって、ぎくしゃくした
関係を好んではいないでしょう。

ですから、おとうさんなりの悩みを聞き出した
上で、どうすればいいか、その方法論を一緒に
考えてあげれば、「でも」連発にならないはず。

お客さんの場合、「でも」は発せず、自然と
会社・お店から離れていってしまいます。
そして2度と戻って来ません。

ということで入口はお客さんの悩みヒアリング
に徹していただくと、その後は比較的スムーズ

に話が進んでいく傾向にあります。

もし、お客さんが今一つ納得してくれない、
と感じるなら、ヒアリングに一層注力
されるといいかもしれませんね!

PS

ヒアリングの際、意識して
いただきたいのが『笑顔』。

笑顔に自信がないようなら、朝30秒だけ、
鏡とにらめっこすることをおススメいたします。

関連記事