できる方法vs.できない理由

From:伴走(Together Run)金子誠志

今日は、「できる方法vs.できない理由」
というテーマでお話させてください。

遡ること、もう1年半近く前のこと、
とある士業の方から相談を受けました。

事前の電話では「最近、価格競争になることが
多く、どうしたらいいか相談したい」
との話。

そして、相談当日を迎えます。
まずは、その方の現状の取り組み、
課題などを詳しく教えていただきました。

その上で、どういった形を望まれるか、
先々に実現したい姿などもヒアリング。

過去の方法が通用しない

その方のお話によれば、自治体の
仕事がメインになっているとのこと。

自治体の業務の中では契約単価が低かったこと
から、以前は入札になることがなく、自治体の
担当者の一存で決まっていたんだそうです。

ですから、その担当とコミュニケーションを
図り、その方が仕事をしやすいようにフォロー
していれば、定期的に受注できていたんだとか。

ところが、時代の流れから、行政の透明化が
一層求められるようになり、最近は少額案件も
入札になることが増えてきたようでした。

結果、受注できないケースが増え、同時に
単価も以前に比べ、安くしなければならない
ケースが増えている
とおっしゃっていました。

そこで、「民間企業の仕事を受けるように
したいが、そういったノウハウがなく、どう
すべきか」というのがご相談の主旨。

公的案件vs.民間案件

民間企業同士の場合、どのような契約内容で
あろうと、互いが合意すればOKですが、相手
が国や自治体等になるとそうもいきませんよね?

一方、価格競争になれば、
中小は大手の体力にかないません。

ですから、公的案件中心の場合、そういった
リスクが常に内在することになります。

さて、一通りのお話を伺った後、
それらを踏まえ、私からいくつか
プランを提案させていただきました。

◆民間企業とどのように最初の接点を持つか。
◆それら企業と、どのように関係を築くか。
◆最初の仕事をどのように受注するか。
◆利益をどのように確保していくか。
などなど・・・。

一通りの説明を終え、「いかがですか?」と
伺うと、その方が勢いよく話し始めたんです。

できない理由が次々に

■○○は過去にやりましたが、
 上手く行きませんでした。
■××の必要性はわかりますが、
 そこに時間を割くゆとりはありません。
■□□は最近始めましたが、
 成果には繋がっていません。

そんな話が続いた後、
最後にこうおっしゃいました。
「なにか新しい方法はないでしょうか?」

私からは、現状の取り組みが上手く行って
いない原因を説明し、見直されることを提案。

しかしながら、その方は全く
聞く耳を持ちませんでした。

そして、繰り返しおっしゃっていたのが、
「なにか新しい方法を取り入れたいんです」

その後もやり取りしましたが、「もう少し、
どんな方法を取り入れればいいか、考えて
みます」とおっしゃって、帰られました。

時は流れ・・・

それから8ヶ月後。
その方と、とある会合で偶然再会したんです。

その後の状況をお伺いすると、
こんな風な答えが返ってきました。

「あれから、Y社の××という仕組みを
 入れてみたんですが、あれはダメですね。
 全く役に立ちませんでした」

「今は、別のWという仕組みを入れる
 方向で検討している最中です」

この記事を読んでくださる前向きな
あなたは既にお気づきですよね?

上手く行かないのは、自分(達)に適した武器
を手にしていないからではない、ということを。

仕組みを使うのは人。
そしてそれを使いこなせるように
なるには、一定の経験、慣れが必要
です。

つまり、上手く行かない=できない理由を
挙げるのではなく、どうすれば成果に繋がるか
=できる方法が考えることが一番大事。

さて、あなたはこの士業の方の
思考・行動を笑い飛ばせそうですか?
それとも反面教師になりそうでしょうか?

PS

再会からさらに半年後、つい最近、
再びその方と会う機会がありました。

「前回お聞きしたW(新しい仕組み)は
いかがですか?」とお聞きすると
「あれはやめました」と。

「自社に合いそうもないので」とのこと。
「なんかいい方法、ないですかね?」と
問われ、苦笑いするのが精一杯でした!

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