From:伴走(Together Run)金子誠志
過去2回に続き、今回も
目標設定について記させてください。
前々回、金子式年間目標設定法をご紹介し、
前回は、年間目標といえどもDailyか
Weekly単位がおススメ、という話をしました。
ところが、そうして作った目標も
一年後の結果は『多くが未達』
という方をお見受けします。
原因の一つが高すぎる目標設定。
ということで今回は、「目標が妥当か?」
そのチェック法についてご紹介します。
目標は達成することに価値がありますが、
それ以上に大切なのが、達成によって
自分に自信が持てるようになること。
部下のモチベーションも目標が左右
これは、例えば、仕事上で部下に
目標を課す場合も当てはまります。
自信がつけば、部下自ら積極的に
高い目標を掲げることもあるでしょう。
一方、未達が続けば、気持ちが折れ、達成
しようという意欲すら湧かなくなる可能性も。
年間目標は、設定時からゴールまでが
遠く感じられ、前向きな意欲が、時に
高すぎる目標設定を後押ししがちです。
もしそうなら、見直しは達成という自信強化
に近づくだけでなく、「届くかも」という本人
のモチベーションアップにもつながる行為。
ということで、過去を振り返り、ご自身や
メンバーに未達が多い場合、今年は以下7視点
で目標をチェックされてはいかがでしょう?
目標設定については、問題を感じていない、
という場合、今回もスキップでお願いします。
それでは早速、目標設定7つの
チェックポイントに入っていきましょう。
1)目標を3つに絞りこむ
金子式の場合、仕事/家族・周囲/個人
の3分野に分け、目標を設定します。
前々回、全体で10個以内が望ましいでしょう、
とお伝えしましたが、未達が多い場合、これ
を3つ以内に絞ることをおススメします。
人の脳は、なにかを頭に留める際、
『一度に3つが限界』だそう。
ということは、それ以上になると
許容量を超える、ということです。
ですから、複数目標の同時進行が習慣に
なっていればいいですが、未達がちなら、
目標は3つ以内が相応しいといえます。
こうすると、場合によっては、3分野の内、
目標のない分野が出てくるかもしれません。
が、それは致し方なしかと。
高すぎる目標を設定しがちな場合、
まずは達成すること、その結果、自信を
つけることを優先されてはいかがでしょう?
2)行動目標を中心とする
前々回、念のためということで
記しましたが、目標には2種類あります。
それが行動目標と結果目標。
行動目標とは自分が直接、行うこと。
一方、結果目標とは、行動の結果、
もたらされるものですよね?
ダイエットを例に挙げれば、
毎日2km走るのは行動目標ですし、
年間10kg減量するのは結果目標です。
結果を重視する経営者の方などで
たまに見かけますが、目標の大部分が、
結果目標というケースがあります。
もちろん、結果は大事ですが、例えば
売上でいえば、経済動向や競合などの
影響で努力が結果に結びつかないことも。
ですから、立てた目標が結果指標中心に
なっているなら、行動目標中心に
されることをおススメします。
行動目標であれば、基本的に
全てを自分でコントロール可能。
したがい手綱さばきがしやすいですよね?
3)新規取り組みは極力低めの目標に
年間目標となると、決意も新たに
理想をそのまま目標にしてしまう
ことも少なくありません。
個人分野でいえば、
新たな習慣作りがその一例でしょう。
読書や学習の習慣、運動の習慣など、
日頃から必要性を感じていたものを
目標に掲げたくなります。
それは大切ですが、こういった際、それが
高めに設定されることが少なくありません。
これまで運動習慣のなかった人が
毎日のジョギングを目標に掲げてしまう、
なんていうのがその例。
こういった新習慣は
挫折を招く最たるものです。
新しい取り組みを目標とする場合、
とにかく低めの設定をおススメします。
「低すぎるかな?」と感じるくらいが
現実的にはちょうど良いレベル。
新習慣を取りいれるなら、習慣化すること
を最優先にされるのがよろしいと思います。
ジョギングでいえば、
「週に一回、家の周りを一周する」
そんな目標からのスタートで十分でしょう。
習慣になってしまえば、
しめたものですから。
これ、仕事も同様です。
例えば、社内の情報共有を新たな目標としても
個々人に負担の多いものだと機能しません。
「仕事だからやれ」というのは言葉としては
わかりますが、形骸化は免れないのが現実です。
こういった際も、まずは根付かせることを
優先し、「さすがにそのくらいはできますよ」
とメンバーが思うくらいがちょうど良いレベル。
新しい取り組みは、『とにかく低く』
が鉄則と捉えるとよろしいでしょう。
4)“やめる系”も無理は禁物
年間目標として、“やめる系”の目標
を立てる方も多くいらっしゃいます。
個人でいえば、間食や喫煙といった不健康
習慣の抑制、あるいはだらだらやってしまう
ネットサーフィンやゲーム時間の削減など。
その志は素晴らしいと思いますが、
人はそれほど合理的に行動できません。
やめたいと思いつつ「でも、少しだけ・・・」
と、結局、目標達成が遠のいてしまいがち。
ですから、“やめる系”の場合も、
とにかく低めの目標がおススメです。
例えば、喫煙であれば、まずは
これまで吸っていた本数の8掛けを目指す。
ただし、週に2日は制限を外す、などです。
これまで毎日20本吸っていた人なら、
週の内、5日は16本を上限にする、ただし、
残り2日は何本吸っても良い、と決めます。
こうして、低いハードルをクリアしていき、
行動に自信がついたら、途中で目標を
上方修正するのも“あり”でしょう。
喫煙の例でいえば、週の5日は、
上限を16本から10本に下げるなど。
ちなみに、自分の逃げ道を
作っておくこともお忘れなく。
喫煙でいえば、週の内、2日は上限を
設けずにおく、というのがそれに当たります。
仮にその日に30本吸ってしまったとしても
それが反省を呼び起こし、翌日から頑張ろう
という意欲が湧きやすくなるプラスの面も。
ですから、現実に目を向けつつ、
改善を繰り返していく感じでしょうか。
“やめる系”もとにかく低めの目標設定、
これが達成可否を分けるポイントとなります。
5)「新規+やめる系」で1~2個に
新しいことを始める、あるいは
既存の習慣をやめる、というのは
かなりのストレスを伴います。
そういった目標ばかりだと、理想と現実の
間に大きな溝が生じ、それが実現できない
と、ますます自信を失いがち。
7つのポイントの最初に、未達が多い場合、
目標は3つ以内とお伝えしましたが、内、
新規/やめる系は1~2個が無難です。
何度も記しますが、とにかく達成すること
を優先していただくのがよろしいでしょう。
6)目標数値の根拠明確化
前々回、目標は数値化が不可欠、と
お伝えしましたが、その際は根拠を
明確にしておく必要があります。
これ、仕事で部下に、本人が
「高すぎるぞ!」と感じるような
目標を課す場合、とりわけ重要なこと。
年間目標だからと「えいやー」で
設定してしまっては、やらされ感が
あふれだし、達成意欲が高まりません。
「まずはやってみろ」という精神論も大切
ですが、現実を踏まえなければ実現性が
限りなく乏しくなってしまいます。
もちろん、これは自分自身に課す
目標についてもいえること。
ですから、例えば過去(の自分の行動等)
と比較し、その数字が妥当か、十分な
吟味が避けて通れません。
目標は少し頑張れば届くくらいが
一番モチベーションが高まります。
一つの目安として、過去比較が
できるなら、その15~20%くらいの
伸長がそれに相当するレベル。
あるいは年間目標を365日で割り、実現
できそうかを判断してもいいかもしれません。
立てた数値の根拠、その精査は目標の実現性
を確かめる第一歩といってもいいでしょう。
7)挽回策の検討
7つ目が挽回策の検討です。
年間目標というのは、当たり前ですが、
長期の取り組みになります。
あなたを取り巻く環境は刻々と変わっていく
でしょうから、途中で目標に取り組む時間が
なくなる、という事態に陥るかもしれません。
そうなった時にどうするかを
あらかじめ考えておくと、いざという時、
少しだけ心に余裕が生まれます。
“やめる系”を除き、目標達成を目指し
行動するならそれに充てる時間が必要。
ですから、スタートの時点で、目標の実現が
危ぶまれるようになった際、日常のなにをやめ
その時間に充てるか決めておくということです。
個人でいえば、TVの時間を削る、趣味の時間
を減らす、家族との時間を少し短くするなど。
これをしておかないと、
「急に仕事が忙しくなって・・・」など
自分に対し、未達の言い訳をしがちに。
そういう意味では、スタートの時点で覚悟を
決める、ということにつながるかもしれません。
以上が目標設定7つの
チェックポイントです。
掲げた目標が未達に終わることが多い
なら、それらが高すぎないか、今一度
チェックされてはいかがでしょう?
PS
6)で挙げた「目標数値の根拠明確化」。
この工程自体が目標実現のための
プラン作りに直結します
前々回、年間目標は3~4日かけても
おかしくない、という話をしましたが、
特に仕事上の目標はこれが大切でしょう。
その上で7)の挽回策を検討しておけば、
達成はすぐそこ、といえるかもしれません。
PS2
本内容の続きである、以下記事もぜひご覧ください。
目標管理の方法:達成を左右する2大ポイント